traveler's tale

旅をしています。知ったこと、感じたことを、徒然なるままに。

バックパッカーはガイドブックを使わない 【海外ひとり旅で感じたコト】

用が済んだので宿へ戻る。

今日は日本人の男の子と女の子が1人づつしか泊まっていない。なんでも、オーナーさんに予定があり、対応出来ないのでここ数日新規のお客さんを断っているそう。

その日の夜、共有スペースで地球の歩き方を読んでいると、

男の子の方が入ってきた。この子は初めて会った時に挨拶はしたけど、喋ったことはない。

いつもドミのベッドでゴロゴロしてる子だ。昼間も特に観光をしている様子もない。

ドミと同じように共有スペースでも寝ながらiPadで何かを見てるので特にお互い話すこともなく、無言で過ごしていた。

すると突然、

「お兄さんアメリカ行ったことあります?」

と話しかけられた。多少の動揺を隠しながらも、

「社員旅行で一週間くらい行ったことあるよ。なんで?」

「いや、今行こうかどうか悩んでるんすよ。どうでした?」

「良かったよ。特に西海岸の絶景とかきれいだし。人も親切だったよ。」

「そうなんすかー。じゃあ行こうかな。」

「タイからアメリカに行くの?」

「いや、こっから飛行機でヨーロッパに行ってそっからアメリカに行こうとしてるんすけどお金が持つかどうか」

なるほど。そしてついでに気になっていた事をきいてみた。

「ここ2日くらいずっとベッドでゴロゴロしてるよね。ヨーロッパへはいつ行くの?」

「実は一昨日行く予定だったんすけど、飛行機にのり遅れちゃって・・・」

聞くとヨーロッパまでのフライト代数万円がパーになり、さらに当日のチケットが高かったため、いったん戻ってきて数日後のチケットを取りなおしたらしい。もうタイでは余計な出費を抑えたいらしく、ベッドの上で時が過ぎるのをただひたすら待っていると言う。

「そうなんだ。ヨーロッパもお金かかりそうだしねー。」

「だからヨーロッパではカミーノしようと思って。」

「カミーノ?なにそれ。」

「スペインでやってる巡礼のことっす。ずっと歩いてスペインを横断するんですよ。各地に巡礼者用の宿泊施設があって、食事とか提供されることもあるんで安く済むし。」

「へ~そんなんあるんだ。よく知ってるね。」

「最近けっこう流行ってるみたいっすよ。インスタとかフェイスブックでよく見るし。」

「インスタ。」

「やってないんすか?」

「あんなの芸能人がやるもんじゃないの?ローラ以外がやっていいもんなの?」

「いやいや。けっこう皆やってますよ。フェイスブックはやってます?」

「・・・いや。」

「まじっすか!絶対やったほうがいいっすよ。海外で知り合った人と連絡先交換するとき、今はほぼフェイスブックですから。」

そうなのか。俺、なんにも知らないな。

聞くと、最近はまたバックパッカーや世界一周旅行がブームになってきており、若い子達は行った街や絶景ポイントなんかをフェイスブックやインスタにあげるらしい。

さすがにこんなおっさんがインスタを始めるとローラに怒られそうなので、その子に教わりながら、フェイスブックのアカウントだけ登録した。

使い方を教わりながらその子のフェイスブックを見てみると、引きこまれそうな絶景や美しい町並みの写真ばっかだった。

「すごいトコばっかり行ってるね。」

「そうでもないっすよ。ネットで絶景って調べたらすぐ出てくる有名どころばっかです。」

そうか。いや、やっぱり便利ですげーな。ネット。今はこれがあるからガイドブックには載ってないこんなすげー絶景に出会えるんだもんな。

さっきは信用出来ないなんて思ったけど、使い方しだいだな。

またひとつ、旅人レベルがあがった気がした。

その子にお礼を言って自分のベッドに戻る。

その日はずーっとフェイスブックをいじっていた。