19歳の女の子は東南アジアの離島で暮らしていた 【海外ひとり旅で感じたコト】
タオに到着。
ピックアップトラックに乗って例のダイビングショップに向かう。
ショップに着くと日本人スタッフが笑顔で迎えてくれた。やっぱり日本語で話しかけられるとホッとする。
早速、ウェットスーツを合わせて説明を受ける。前にも言ったがタオ島にある日本人ショップは10月いっぱいまでしか営業していないので、潜れるのは今日を入れてあと3日だけなのだ。
なので島に着いたばっかだけど、午後に2本潜る準備をすすめた。
急いで昼飯をたべて早速出発。
10年ぶりのダイビングに不安が無かったわけじゃないけど、港に行くピックアップトラックの荷台に乗りながら、僕はドキドキしていた。
通常ダイビングは2人1組で潜る。
バディ制といって相手に何か危険や不具合がないか常にチェックをする。そのため、ダイビングで異性2人がバディになると何かしらの感情が生まれ、陸でも何かしらのバディになったりすることが良くあるらしい。
当然良からぬ想像(妄想)をしていて、港につくまでの短い間に空想上の僕は(かわいい)空想上のバディの女の子と深海18メートルでイチャイチャしていた。
いよいよ潜るポイントへ行くボートに到着。
事前の説明で、この船には色んな国のチームが合同で乗っていて日本人チームは僕以外、みんな午前中から潜っているらしい。なので自分で乗り込んでボートの中で日本人チームと合流して。と言われていた。
船に乗り込んで探そう、とする前にすぐに声をかけられる。日本人インストラクターの方だった。僕らが乗り込むとすぐに船は出発。船のデッキで自己紹介をすることになった。船には外国人に混じって日本人が5人。うち3人が女の人だ。
「今日のインストラクターを努めます◯◯です。よろしく。」
「ダイブマスターの◯◯です。インターン生として働いてます。」
「同じくダイマスの・・・」
あれ?
「私もインストラクターの・・・」
僕以外全員スタッフ。
「もうオフシーズンに入るからお客さんは若林さんだけだよ。」
えー。そうなのか...。
結局、スタッフの1人の女の子(Mちゃん)とバディを組んで、インストラクターの方の指導のもとファンダイビングをすることになった。
海の中の注意事項なんかを聞いた後、しばらくして自由な時間になったので、今日のバディになってくれるスタッフのMちゃんに、さっきから気になっていた事をきいてみる。
「あのさ、Mちゃんっていくつ?」
「19です。」
やっぱり。
話し方やしぐさは大人っぽいんだけど、顔が幼いし肌の感じも若々しい。
もしかしたら10代なのかなという予感が的中した。
「すごいね。19歳でダイブマスターの資格取って働いてるなんて。」
「いえ、ダイブマスターを取ったのは18です。」
まじか。
スキューバはライセンスの種類によって潜れる場所や条件が変わる。ダイブマスターはその中のトップライセンスだ。取得するのだって簡単じゃない。
なにより19歳の時、海外で働こうなんて自分が若かった頃には考えもつかなかった事だ。
「なんでこんなところで働いているの?」
「好きだからですね。」
当たり前のような顔でMちゃんは答えた。
すげー。Mちゃんあんたすげーよ。そんなあっさり。
大抵のオトナは働いている。
でもその人たちの中で「好きだから」っていう理由で職業を選んでいる人は多くない気がする。
理想と現実があって、「好きだけどお給料が安いし・・・」「なりたいけど難しい試験が・・・」ってなるのが普通だ。
だからMちゃんみたいにまっすぐ理想に向かう姿はかっこ良くみえた。
きっと19歳の女の子が東南アジアの離島で働くのは、想像以上に大変なはず。それなのにMちゃんは何てことないかのように話していた。
ほんとうにここ最近、驚いてばっかだ。
自分が思っている以上に世界は広くて、色んな人がいろんな所で働いている。年齢なんて関係ない。日本にいたら出会って無い人達ばっかりだ。
ふらっと日本を飛び出してきた無計画な旅だけど、いろんな勉強になるなあ。なんて揺れる船の上で思っていた。